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『はんこ作家の岩手生活<中>』(生活綴方出版部)

880円

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岩手に移住して、丸三年が経った。 三年前、東京都・中野区から、岩手県・町へ引っ越してきた。「移住で、人生が変わりました!」とキラキラした目で言うつもりもないのだけれど……やっぱり、人生は大きく変わった。これは認めざるを得ない。 はんこ作家の岩手生活。これは、東京から移住したはんこ作家が、田舎暮らしの中で野菜育てちゃったりしながら、はんこの制作に専念して、スローでていねいなくらしで自分を整え作風を確立していく話……でも書くのかと、我ながら思っていた。だけど一向に、そうならない。移住で人生が二転三転したと思っていたのに、その先にまだ四転も五転もある。四十歳を目前にしても、まだこんなにいろんなことがあるのか。 自分のやりたいことと、現実的にできることの折り合いをつけるのがいつまでも下手で、もがきつづけている。ものごとに優先順位があることはわかっているが、私の頭の中には「最優先」と「優先」しかなく、諦めきれずに二兎も三兎も追いかけてしまう。断ることも諦めることも苦手なままで、岩手生活は、東京での生活よりもはるかに忙しくなっている。私のスローライフ、どこ行った? ひとまず三年暮らしてみよう、と決めたのは、現在の職務である「地域おこし協力隊」の任期が三年間だったからだ。今、その任期は過ぎたものの、コロナ禍の特例措置によって任期を延長した。そしてロスタイムの四年目もまだここで、働き続けている。暮らしてみると、三年は本当にあっという間だ。今思うと、これはあれに似ている。飲み会を終えて解散しようか迷っているとき、「最後に一杯だけ飲んでいこう」と入った二軒目が妙に居心地よくて、腰を下ろして飲み出しちゃうあの感じ。「一杯だけ」とか「とりあえず三年」とか、そういう誘い文句に弱くて、気づけばなんかこの人、思ってたよりいつまでもいるな。そのくらいの存在でいられるのが、一番心地良いのだ。 (まえがきより) 目次 未来がのっぺらぼうになった感じ 定住、するの? 「本と商店街」前夜 第0回目の「本と商店街」 商店街を「歩かさる」しくみにしよう 手作り感満載の第一回「本と商店街」 「背負わない」生き方をしてきた 一日来場者千人? お父さんが逝っちゃった 三年間の地固め おじいちゃんの誘惑 そうだ、チェコへ行こう 岩手生活から見るチェコ生活 農家女子とチェコへ行く 自分の欲望をとことん叶える プラハ初日のぼったくり チェコの「紫波」に出会う 雪の森からワインの楽園へ 次は姉妹都市? チェコ⇄岩手のリモートワーク そして岩手生活は続く 書誌情報 ページ数 56ページ 判型 文庫版 発行/印刷製本 生活綴方出版部

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